今回は、ニッカウヰスキーのシングルモルト余市 NAをレビューします!
ストレート・ロック・ハイボールで評価しますので、家飲みの参考にしてくださいね♪
スモーキーでクリーミィ、重厚でコクのある味わいが特徴
オススメの飲み方は、ストレートとロック
世界で唯一の石炭直火蒸留で作られた、個性的な味わいのウイスキー
〈基本情報〉
商品名:シングルモルト余市 NA
生産地:日本
種別:シングルモルト
度数:45%
価格:5,000円くらい
〈概要&テイスティング〉
シングルモルト余市は、ニッカウヰスキーが所有する余市蒸溜所で製造されたモルト原酒のみを使用したウイスキーです
余市蒸溜所は、北海道の積丹半島入り口にある余市町に位置しています
日本のウイスキーの父にしてニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝さん(以下マッサン)は、1918年〜1920年までスコットランドに留学し、ウイスキーの製造方法を学びました
帰国後、寿屋(現サントリー)に入社し、社長の鳥井信治郎さんからの要望で蒸溜所の建設予定地を検討することなります
マッサンはスコットランドと環境の似ている北海道を建設地として提案しますが、鳥井さんは難色を示します
「工場をみなさんに見てもらえないような商品は、これからは大きくなりまへん」
先見の明があった鳥井さんは、これからはお客さんにも見学してもらえる工場を作ることが重要だと考えており、寿屋のある大阪周辺での蒸溜所建設を希望されたのでした
その結果、寿屋の第一号蒸溜所にして日本で最初の蒸溜所は山崎蒸溜所となりました
その後、つねづね自分でウイスキー作りをしたいと考えていたマッサンは寿屋から独立します
そして、1934年に大日本果汁株式会社(現ニッカウヰスキー)を創業し、自身の蒸溜所として建設したのが、北海道余市町に位置する余市蒸溜所でした
余市蒸溜所は、現在も石炭直火蒸留を続けている世界で唯一の蒸溜所となっています
この石炭直火蒸留は、マッサンがスコットランドへ留学した当時は一般的な蒸留方法でした
しかし、次第に管理が簡便で効率の良い、ガスを用いた蒸留を採用する蒸溜所が増えていきます
そして最終的に、石炭直火蒸留を続けているのは、世界で唯一余市蒸溜所のみとなりました
石炭直火蒸留は扱いが難しくコストも高いのですが、高火力で蒸留される原酒には香ばしさとコク、力強さが備わるということで、それが余市蒸溜所モルトの代表的な個性となっています
「本物のウイスキーをつくるために必要なことであれば、たとえそれが非効率的であっても守り抜いていく」
余市蒸溜所の石炭直火蒸留には、そんなニッカさんのこだわりがつまっているのだそうです
さて、今回ご紹介するシングルモルト余市NA(ノンエイジ)は、2015年にリニューアル発売された商品になります
リニューアル前はシングルモルト余市NA(500ml)、10年、12年、15年、20年があったのですが、2014年に放送された連続テレビ小説「マッサン」により発生したウイスキーブームで原酒が枯渇
年数表記商品はすべて終売となり、NAがリニューアル販売されることとなりました
リニューアル直後のNAは、塩味が強く、原酒枯渇の影響からか熟成感もほぼなく、正直これで5,000円は、、、という内容でした
ただ、徐々に原酒が回復してきたのか、はたまた出荷数を絞って品質を上げたのか、ここ最近のロットは結構クオリティが高くなってきています
ですので、リニューアル直後の余市の記憶を引きずっている方がいらっしゃいましたら、ぜひ最近のロットを試してみてくださいませ
〈ストレート〉オススメ!
香り:
石炭のようなスモーク、バナナシェイク、キャラメル、樹液、カステラ
味:
石炭様のスモーク、バナナ、クリーム、リンゴ、軽く麦の風味、塩味、アルコール由来のピリピリ感
フルボディで、余韻は石炭のようなスモークとリンゴの甘みが続く
スモーキーでクリーミィ、そしてフルーティなウイスキーです( ´ ▽ ` )
そこまで若さが目立つわけではありませんが、力強く骨太な酒質のためかアルコールのアタックは強めですね
もちろん熟成感はあまりありませんが、コクと重厚感があり、ストレートでもしっかりと楽しめるクオリティとなっています
2015年のリニューアル直後にリリースされた余市NAとは全くの別物ですね
そして、スコッチでも類をみない非常に個性的な味わいのウイスキーとなっています
スコッチにもスモーキーなウイスキーやクリーミィなウイスキー、フルーティなウイスキーはありますが、さらに重厚でコクがあって複雑でと色々な要素が合わさった結果、他にはないタイプの独特なシングルモルトに仕上がっています
どうなんだろう?石炭直火蒸留が主流だった頃は、こういった味のスコッチもあったんでしょうかね?
余市の設備は、マッサンが修行を積んだロングモーン蒸溜所やヘーゼルバーン蒸溜所のものを参考としているそうなのですが、ロングモーンはずっと昔にガス蒸留に変わっているし、ヘーゼルバーンに至っては閉鎖されているしで
この余市の個性が石炭直火蒸留に起因しているのか、それとも蒸留方法関係なく独特なのか、、、
もはやわかりませんね( ´ ▽ ` )
〈ロック〉オススメ!
石炭のようなスモーク、リンゴ、キャラメル、バニラ、バナナ、クリーム
ストレートより、さらにクリーミィで甘みが増します
アルコール由来のピリピリ感も抑えられるため、ストレートではきついと感じられた方はロックを試してみるのが良いかも知れません
また、甘いウイスキーが好きな方にもロックがオススメです
ただし、相変わらずスモーキーなので、そもそも煙いウイスキーが苦手な方は余市を避けた方が良いでしょう
〈ハイボール〉
クリーム、麦の風味、石炭のようなスモーク、わずかに根菜のような風味
クリーミィでスモーキー、けっこう甘めなハイボールです( ´ ▽ ` )
このハイボール、相変わらず個性的な味わいでおいしいにはおいしいのですが、かなり独特なのであまり何かと合わせるという感じではありませんね
食事やおつまみに合わせるには少し甘みが強いですし
では、チョコレートやドライフルーツはどうかと言えば、スモークが絶妙に合いません
ダークチョコレートやナッツなら、まあ邪魔にはならないかなと言った感じです
ですので、余市ハイボールに関してはそのまま単独で味わうのが良さそうです( ´ ▽ ` )
〈総評〉
唯一無二の、独特な個性をもったウイスキーでした( ´ ▽ ` )
ウイスキーって、だいたい「あ、このウイスキーはあれに似てるな」とか「これはあれ系統の味わいだな」とか連想できることが多いのですが、余市はほぼ心当たりがありませんでしたね
各要素毎に考えれば、スモークの感じが少しアードモアに似ているとか、クリーム感がロングロウに似てるかな?とかはあるのですが
やっぱりスコッチ、というか余市以外のウイスキーにはあまり見られない要素持っているため、稀有な銘柄だなという結論に至ります
ヘヴィでパワフルかつスモーキーなため、あまり万人受けするとは言い難い味わいではありますが、好きな方にはバッチリはまる珍味のような面白いウイスキーでした( ´ ▽ ` )
P.S. 8月29日はマッサンの命日です
素晴らしいウイスキー文化をありがとうございます、マッサン( ´ ▽ ` )